ホンビノス貝のスペシャリストが作る“ホンビノスラーメン”「らーめんBAR 963」
皆さんこんにちは!自称日本一ラーメンを食べているアスリート(自分調べ)こと一場治之進です。
最近、船橋市内を中心にアサリやホンビノスを使ったラーメンが増えてきていると肌で感じまして・・・
そこで今回は、いち早くホンビノス貝をラーメンに使い始めたとされているお店「らーめんBAR 963」で色々とお話を聞いていきたいと思います。
場所
船橋駅から市役所方面に向かい、「本町1丁目」交差点を右折してしばし歩いた左手にあります。
店内・メニュー
店内はL字型のカウンター9席とテーブル6席というラーメン屋の様な作りですが、お酒も気軽に飲めそうなBarの雰囲気でもあります。
メニューはラーメンから一品料理・おつまみなど幅広いですね。
クラムチャウダー選手権で優勝
店内を見ているとこんな張り紙が↓
先月船橋港で行われたホンビノス貝を使った「日本クラムチャウダー選手権」の初代王者だったんですね。
まさに「ホンビノス貝のスペシャリスト」と呼べるのではないでしょうか?
これは注文もやはり「ホンビノスラーメン」一択ですね。
ホンビノス貝の扱い方
店主の黒川さんに特別に調理風景を見学させて頂きました。
まずはホンビノス貝の判別から始まります。イチバの感覚では「新鮮=良い」と完全に思っていましたが、そうではないそうです。
「具材に使うホンビノスは新鮮である方が良いんです。でも、スープの出汁に使うホンビノスは新鮮過ぎても古すぎても駄目なんです。貝の旨味成分にコハク酸と言うものがあるんですが、それは新鮮過ぎるより貝にストレスがかかった状態の方が多く出るんですよ。人間が筋トレやって乳酸でるのと同じ様なものなんでしょうね。」
しかし、新鮮でも古くても駄目だと言うと判別が難しいですね。
「スープの出汁用の貝に1つでも古いのが混ざるとスープ全体が臭くなるんですよ。だから、鮮度には神経質になります。鮮度は臭いと音で判別するんです。貝を叩いて音が高いと貝が死に掛けています。これは漁師さんに聞いたんですよ。」
そう言いながら黒川さんはホンビノスを丹念に臭いを嗅ぎ、音を一つ一つ確かめます。
ホンビノストリプルパンチ
ベースとなるスープは50人前に対してホンビノス貝10㎏を使用するそうです。
10㎏と言うとかなりの重量で持つとズシっときます。それを一つ一つ手作業で判別していくのだから手間暇かかっていますね。
ちなみにクラムチャウダー選手権でもこのホンビノスの旨味がギュッとつまったスープを使用しているそうです。加えて※「呼び戻し」もするというので・・そりゃあ牛乳にも負けない極濃な貝の旨味が出るわけで優勝したのも納得できます。
ふふふふ・・説明しよう。「呼び戻し」又は「呼び戻しスープ」とは、九州は福岡県の豚骨発祥であるご当地「久留米ラーメン」に見られる技。通常であればその日に作ったスープを使い切る「とり切りスープ」が主流なのだが、「呼び戻し」は煮込まれた熟成スープと作りたての若いスープを混ぜる事で味を濃厚に安定させる事だ。久留米ラーメンの雄「大砲ラーメン」がその名を使ったと言われている。ちなみにイチバは久留米の会社にいた経験があるので「呼び戻し」と言われると過剰に反応する。
いよいよホンビノスラーメンが作られていきます。
ラードを貝のスープに投入・・以前は鶏油を使用していたそうですが、ラードの方が味を壊さないと変更したそうです。
生のホンビノス貝をベースとなるスープに投入し、ダブルでホンビノスの旨味を抽出する。
カエシ(タレ)にもホンビノス貝を使用しているそうで、トリプルでホンビノスの旨味に仕上げます。
最後に動物系のスープを少量投入し味にアクセントを加えます。
この手順を見ているだけで、ホンビノスの旨味抽出への強いこだわりが伝わってきます。
麺は埼玉県の「大進食品」製を使用。中華麺だけでなく給食などもやっている幅広いメーカーで、色々な事に対応出来るから選んだそうです。
キレのある湯切りも含めて、全てがスムーズな動きで無駄がありません。ラーメン職人としても只者じゃない事を肌で感じます。
そして、出来たラーメンを見てイチバとイヨリ編集長はワクワクした顔を見合わせます。
ホンビノスラーメン実食
「美しい・・・」これが第一印象です。
黄金のスープからは貝特有の上品な磯と潮の香りが漂います。具材もホンビノスを生かすためか、水菜以外は乗らずシンプルですね。
スープはラードの効果で超がつく熱々。一口目にホンビノス貝の印象からは想像もつかない上品な潮の旨味が口の中に広がります。
「これは美味いですねぇ~」動物系の旨味が抑えられていて、ホンビノスのピュアな強い旨味・・・例えるならホンビノスが生む「黄金のエキス」ですね。シンプルを極めた貝出汁に悶絶必至!
具のホンビノス貝はもちろんスープと自然に馴染みます。これは余計な出汁を入れないでホンビノス中心でとったスープだからこそですね。汁から具までホンビノスを堪能出来ます。
水菜の食感も口の中をリセットして、色合いだけでなく良い仕事ですね。
麺は、ほんのりウェーブの中細ですね。上品なスープにぴったりの食感でよく合います。
スープから貝から、丸みのある塩分と旨味があふれ出ていて気づけば汁完です。参りました。
ホンビノス貝の旨みを余す事なく引き出した1杯、これを作り出した黒川さんはまさに「ホンビノス界の魔術師」と言えますね。
お店のこと
オーナーの黒川さんにお話をお伺いしました。
らーめんBAR963は2009年7月にオープンして今年で10年を迎えます。
黒川さんは東京都葛飾区出身で、子供の頃からラーメンが大好きで、社会人になっても色々なお店を食べ歩く中で匠屋(当時は新小岩で現在は錦糸町に移転)の塩ラーメンに惚れこんでしまい、勤めていた会社を辞めて匠屋でラーメン修行を始めることに。匠屋と言えば「フジトラ二段仕込み醤油」使用の有名店ですね。
実は勤めていた会社というのは実家でお父さんが経営していた繊維関係の会社でした。当時は反対されたそうですが黒川さんのラーメン屋になりたいという熱意に負けて納得してくれたのだとか。
その後、「匠屋」は船橋駅の「ラーメン横丁(現在は閉館)」に支店を出す事になり、黒川さんは本店で4年半程修行して船橋店の店長を任されました。
やがてラーメン横丁の閉店に伴い、独立を考え自身がお酒を飲む事が大好きだったこともあり、“飲みながらラーメンを食べれるオールインワンなお店”をコンセプトにラーメンBAR963を開店します。
ラーメンは匠屋で修行したベースがありましたが、おつまみの料理は自分が食べ歩いて美味しかったものなどを試行錯誤しながら作り上げていったそうです。
目の付け所と行動力
実は黒川さんは「ラーメンBAR 963」の他にも「URA963(船橋:現在はケータリング専門)」「963+(人形町:閉店)」、「アジアンバルMAE963(船橋)」、「島Cafe963(式根島)」など複数の店舗を出しています。
963の開店1年後に、3年間の期間限定契約で人形町に963+を開店。好評でしたが契約の3年が終わり963+を閉店。
そこで働いていたスタッフを集めて”URA963”を開店。今度はラーメンではなく当時まだブーム前夜だったパクチー専門店としてオープン。理由は単純に黒川さんがパクチーが好きだけど食べれるお店がなかったからだという。
そして現在はURA963はケータリング事業専門となり、パクチー料理は”アジアンバルMAE963”に引き継いでいます。
さらに式根島に夏季限定のお店として島Cafe963を作り、島で作ったパクチーや明日葉・クサヤ・空芯菜などを使った料理を出しています。
「とにかく自分が面白い、やってみたいと思ったことにはトライしたい性分なんです。経営者が面白がっていないと下はついてきませんよね。そういう経営的な事やマネージメントは実家の仕事を手伝っていた時に培われました。」
実は、この「URA963」ではイチバが知る限り船橋でいち早く「ホンビノス貝」を使ったラーメンを提供して一躍有名になりました。
「美味いもので人がやってない物は常にアンテナを張っています。もちろん失敗したものもありますが(笑)ホンビノス貝は知人が船橋漁港にいて、安くて出汁も出てカルパッチョでも食べられるという情報を聞いたので目をつけました。当時はまだ誰もやっていなかったし、実際調理してみて美味しい貝だったのでこれはいけるなあと思いましたね」
パクチーといい、ホンビノス貝といい、常にアンテナを張っていてトレンドを先取りする感覚があってこそのものだったのですね。そうして目をつけた食材を調理するセンスがまた素晴らしい。
「ラーメンの作り方のベースは匠屋で学びましたが、それだけじゃ同じラーメンしか作れないんです。そこに自分で仕入れた知識を昇華させて“知恵”に変えられるか否かが大事なところだと思います」と語る黒川さん。
確かに知識だけではあのホンビノスラーメンは作れないでしょう。多くは語られませんでしたが、きっと試行錯誤を繰り返して今の味にたどり着いているのだなと一場は感じました。
黒川さんの今後の挑戦にも期待が高まるラーメン&Bar963。まだまだ目が離せないお店ですね。
マッスルコメント
ホンビノスのパイオニアと話して・・・・日本一を目指す為にマッスル階段ダッシュ!!!
らーめんBAR 963
住所/船橋市本町2-27-20
TEL/047-498-9006
営業時間/18:00~翌4:00(LO.3:00)
定休日/不定休
↓地図はこちら